重量品のライフサイクルにおける物流サービス
『重量機工』物々しい言葉である。重量とは読んで字のごとく重いもの。
つまり重量機工本部とは、人力では動かしたり、運んだりできない工場設備、研究設備などの重量品を移設、そして運搬を行うことを主とする組織である。
設備の移設・移転・輸送・据付に伴い、不要になった古い機械や設備、また壊れて使用できなくなったものなどを、適正に廃棄・リサイクル工程に繋げ、更にはリサイクル後の再生資源物流を行うことで製品ライフサイクル全般の物流工程をワンストップで提供している。
今、モノを廃棄・リサイクルする上で求められること
廃棄やリサイクルについて、どのようなイメージをお持ちであろうか?
モノを回収し、再資源化できるものはリサイクルを行い、リサイクルできないものは、適切なプロセスを経て焼却、埋め立て等の処理を行うことをイメージすることと思う。
「『環境に配慮した適切な廃棄を行いたい』というご要望を頂くことが増えてきています」──中川裕貴氏は語る。
「適切な廃棄」という言葉は、とても悩ましい。産業廃棄物の処理にあたっては、関連するさまざまな法令を遵守することが求められる。そもそも、リサイクルできるものと、廃棄せざるを得ないものを仕分けすることすら、多くの方にとっては簡単ではない。
「多くのお客さまは、『分からない』というところから、私たちにご相談いただきます。当然だと思います。そもそもリサイクルや廃棄に、決まった形はありませんから。
だからこそ、私たちはお客さまのご希望や廃棄したいもの、課題などを丁寧にヒアリングし、お客さまのニーズに合う最適な廃棄・リサイクルの方法を、物流の立場からご提案します」──平井昌寛氏の言葉に安心する方も多いことだろう。
求められるのは、ワンストップで任せられること
「一般的に『運ぶのは物流会社、設置・据付するのは工事・据付業者、廃棄処理を行うのは産業廃棄物処理事業者』、多くの方々は、このように思っているでしょう。しかし、お客さまが求めるのは、廃棄・リサイクルを含めた工程を1から10まですべてワンストップで提案できるパートナーです」──大湊将之氏の指摘は、もっともだ。
ほとんどの方は、廃棄、リサイクルに関する知見を持たない。不適切な廃棄を行えば、行政からの処分を受ける可能性もある。それがニュースにでもなれば、社会的にも制裁を受け、企業の受けるダメージは計り知れない。
一方で、適切なリサイクルや廃棄を行うことができれば、逆に企業ブランドの向上へとつながる。SDGs、ESG経営などの文脈で語られる環境統治が企業経営にも求められる今、廃棄・リサイクルにおける手抜かりは許されない。
だからこそ、お客さまの抱える千差万別な事情や要望をきちんと咀嚼した上で、最適な廃棄・リサイクルを実行可能なパートナーが求められるのだ。
日立物流は、幅広い業界へ事業展開を行い、物流の側面からモノのライフサイクル全般を把握している。そのノウハウと実績があるからこそ、お客さまの求める「ワンストップで頼ることができるパートナー」となり得るのだ。
日立物流が持つ、多くの産業廃棄物処理事業者らとのネットワークも大切だ。一言で廃棄・リサイクルといっても、処理事業者によって得意分野はそれぞれだ。日立物流は豊富なネットワークを駆使し、もっとも適切な処理事業者の選定・起用を行うことで、お客さまに貢献する。
ワンストップで、輸送・据付・移設・廃棄・リサイクルを、法令を遵守したうえで包括的に提案するのは、日立物流ならではの強みである。
後編では、日立物流が取り組む重量品のライフサイクルにおける物流サービスについて、さらに掘り下げていこう。
撮影 寺井悠
執筆・インタビュー 坂田良平 プロフィール
Pavism代表。物流ジャーナリスト。
「主戦場は物流業界。生業はIT御用聞き」をキャッチコピーに、ライティングや、ITを活用した営業支援などを行っている。筋トレ、自転車、オリンピックから、人材活用、物流、DXまで、幅広いテーマで執筆活動を行っている。
連載『日本の物流現場から』(ビジネス+IT)他、Merkmal、LOGISTICS TODAYなど、物流メディアでの執筆多数。
※所属部署、役職等は取材時のものになります。