丸新運輸株式会社
- 業種
- 運送業
- 社員数
- 29名
- 保有車両台数
- 9台
- 主な顧客の業種
- タイヤ・ゴムメーカー、化学メーカー
- 課題
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- タイヤの手積みと長距離運行で体力的負担が大きいドライバーの健康状態や運行状況を確認できず、不安を感じていた。
- ドライバーの走行状態の把握ができないため、ドライバーが納得できる安全指導をすることが難しかった。
- 導入の決め手
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- 遠隔地からでも運行前後の健康状態が確認でき、運行状況もリアルタイムに把握できる。
- 定量的なデータを元にした運行状況の分析結果やAIで検出した危険運転動画など、客観的なデータにより、説得力のある運転指導ができる。
- 効果
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- 親会社の業務を兼務しながら、社員の健康状態、運行状況を確認できるようになり、不安が軽減した。
- ドライバー個人の経験や勘のみに頼るのではなく、定量的なデータに基づいた運転指導ができるようになり、ドライバーの安全運転への意識が高まった。
お話を伺った方:
代表取締役社長 兼 横浜ゴム 物流企画室 室長 二宮昭彦氏
管理部長 中谷洋和氏
倉庫・車輛部 課長 宗像省三氏 ※運行管理者(実務担当者)
ドライバー 内田新ニ氏
ドライバーの日々の運行状況を把握できないため、リスク管理に課題を感じていた
日常の運行業務について、課題として認識されていることはありますか?
二宮氏:
社長である私は、親会社(横浜ゴム 物流企画室)の業務を兼務しています。本社(山口県周南市)に常駐できないため、ドライバーの運行状態を日々把握することが難しい環境にありました。当社の場合、1運行3日間サイクルの長距離運行がメインですから、とくに台風や大雨、地震などの災害に見舞われたときは、「被害にあっていないか」「安全運行に影響は出ていないか」「ドライバーに異常はないか」と常に心配していました。運行管理の最終責任者である社長として、日々、走行中の状況をよりしっかりと把握できないか、リスク管理をより向上できないか、と考えていました。
毎日の運行状況を可視化 ドライバーの健康状態も把握できる
SSCV-Safetyを初めて知ったとき、どのような印象を持たれましたか?
二宮氏:
SSCV-Safetyを導入すれば、東京にある横浜ゴムの本社にいても、ドライバーが事故なく安全に運行していることがすぐにわかります。また、われわれの扱う製品はタイヤです。当社の場合、タイヤはドライバーが手積みしなければならないため、非常に負担が大きい。ドライバーが疲労していないか、といった健康状態をリアルタイムに把握できることは、とても魅力を感じましたね。
過去には、ドライバーの安全運行を推進するためにドライブレコーダー(以下、ドラレコ)の導入が推奨されたこともありました。SSCV-Safetyはドラレコとはどのような違いがあると考えられていますか。
中谷氏:
当社では、「今日出発して、明日納品先に到着し、明後日に帰ってくる」という1運行3日間サイクルで業務を行っています。ドラレコの場合、トラックがいったん出庫してしまうと、運行状況をリアルタイムで確認することはできません。帰社後にドラレコのデータを確認するにしても、走行中だけで10時間以上のデータがあるわけですから、早送りしたとしても、通常の業務時間内ですべてのデータを確認することはできません。その点では、ドラレコはドライバーの安全運行のためというよりも、万一のときのエビデンスという側面が強かったと思います。
宗像氏:
それに対しSSCV-Safetyは、車両の位置情報、稼働状況、ヒヤリハットの発生状況、ドライバーの健康状態がリアルタイムに把握できます。イベント動画の自動検出で効率的にデータを確認できるのが、ドラレコとの大きな違いです。
ヒヤリハットや車間距離不足もAIが検知 客観データでドライバーも納得
SSCV-Safetyを導入した当初、どのようなサポートがありましたか?
宗像氏:
さまざまな機能があるので使い方に慣れるのに少し時間はかかりましたが、日立物流さんのサポートもあり、いまでは期待通りの効果を感じています。また、営業担当の方から、ドライバー別の車間距離不足検知回数をはじめ、安全運行に影響を及ぼす可能性のあるデータの分析レポートを提供いただくこともあります。そのレポートは、運行管理者の立場として、ドライバーを指導する際に、客観データとして共有することができ、ドライバーへの注意喚起も説得力が増したと思っています。
特にどのような機能が役立っていると考えていますか?
中谷氏:
SSCV-Safetyでは、AIによって、ヒヤリハット、車間距離不足などのイベントが検知されると、その前後20秒間の動画を自動的に切り出してくれます。ドラレコだけを使用している場合、ドライバー自身が何か危険を感じるような場面があったとしても、データをすべて確認しなければ、いつ、どこで、どんなことがあったのかを、正確に知ることはできません。しかし、SSCV-Safetyでは、そうした手間をかけることなく、ドライバーが帰社したタイミングで、その日、1日の運行状況をドライバーと一緒に確認することができます。具体的な安全指導にもつながっていると感じています。
安心できる車間距離をドライバー同士で情報共有
導入されてどのような変化がありましたか?
中谷氏:
導入当初、何度も車間距離不足を検知されるドライバーがいました。口頭で「車間距離不足がたびたび検知されています。気を付けて運転してください。」と注意をしていましたが、ドライバー本人は「そんなはずはない。しっかり車間距離をとって運転している。」と、なかなか納得してもらえませんでした。そこで役立ったのが日立物流さんからいただいた分析レポートです。このレポートを通じて、SSCV-Safetyでは法定車間距離に準じて検知していることや、どのドライバーがどこで、どのくらい車間距離不足を検知されているのかといった他者との比較もはっきりとわかります。当該ドライバーも、SSCV-Safetyの検知内容に納得してくれ、その後は適切に車間距離をとるようになりました。
内田氏:
事故を起こすことなく毎日運転できていたので、車間距離が近すぎるとは思ってもいませんでした。しかし安全だと感じる車間距離は、結局のところ、自分の物差しでしかありません。車間距離不足を検知されたことで、自分の感覚と、 これまでのデータに基づいたSSCV-Safetyが検知する安全な車間距離との差をはっきりと実感することができました。
宗像氏:
個々のドライバーが安全だと感じる車間距離と、SSCV-Safetyによって安全と認識される距離に、思いのほかズレがあるのがよくわかりました。SSCV-Safetyの基準は正しく計測された法定の車間距離ですから、ドライバー個人の経験値より、はるかに説得力があります。
SSCV-Safetyを活用されて初めて気づかれた変化、効果はありますか?
宗像氏:
いままでであれば、"ヒヤリ"とした場所はドライバーの記憶の中だけのものでした。SSCV-Safetyでは、イベント検知された際の動画が保存されるので、それを会社全体で共有することができます。そうすると"ヒヤリ"を検知された場所は、あるドライバーに限られたものなのか、ドライバーに関係なく検知されているものなのかもわかってきます。今では「ここは注意して運転する場所だ。みんな気を付けよう。」と、ドライバー同士、お互いに声を掛け合っています。
内田氏:
私自身、プライベートで運転するときにも以前より車間距離を取るようになりました。また、毎日、健康状態の確認をすることが習慣になりましたから、SSCV-Safetyを導入する前に比べ、日々の健康管理に気を配るようになりました。これは私に限ったことでなく、会社全体でそうなっているように感じています。
熟練ドライバーの経験値を新人教育に有効活用
今後のSSCV-Safetyの活用方法として何か考えていることはありますか?
中谷氏:
当社では、過去に、ドライバー一人ひとりがヒヤリハットを感じたことのある場所や、運転に注意が必要と考えられるところなどを地図上にマッピングしたことがあります。しかし、会社全体としてかなりの手間と時間をかけることになりますから、情報を更新するところまでは手が回っていませんでした。このSSCV-Safetyを活用すれば、マッピングだけでなく、動画も付け加えることができます。この情報は、これまで社内のドライバーたちが、自身で危ない思いをしてきた場所を示すものです。これから当社で働く新人ドライバーの教育や、安全運行にも有効だと思います。
最後に御社として、安全や健康をどのように考えていますか?
二宮氏:
運送事業は、ドライバーが安全運行することで、仕事として成立する業種です。運行に何か問題があれば、最悪の場合、業務停止処分を受けることもあります。
もしそうなれば、その影響は丸新運輸内だけでは済みません。横浜ゴムの事業が、突然ストップするという事態に追い込まれる可能性もあります。われわれに課せられているのは、安定的に収益を確保するということもありますが、それ以上に、「安全に事業を継続する」ということです。そのためには、どこにいてもドライバーの運行管理や健康状態を把握できる、安全システムの構築が必須だと感じています。
中谷氏:
SSCV-Safetyの導入により、会社全体の安全意識や、日々の健康状態に関する関心が高まり、検知されるイベント件数は減少を続けています。事故を招くような不安が軽減され、かつ社員の健康意識が高まり、会社全体としてより健全な方向に向かっていることを強く感じています。そうした意味でも、SSCV-Safetyは業界に広がってほしいと強く感じています。
※所属部署、役職等は取材時のものになります。