ページの本文へ

  • サービス

「時代に取り残されないように進みたい」
湯浅運輸がSSCV-Smartを導入した理由

SSCV-Smart導入事例─湯浅運輸株式会社(茨城県日立市)のケース

【SSCV-Smart導入事例】昭和30年創業、茨城県日立市で、日立物流の協力会社として運送ビジネスに携わってきた湯浅運輸株式会社は、なぜSSCV-Smartを導入したのか?

「転んでもただでは起きない」、湯浅運輸のチャレンジ精神

湯浅社長(左)と関川部長(右)
湯浅社長(左)と関川部長(右)

湯浅運輸はチャレンジ精神を備えた会社である。実は、筆者が同社を知ったのは、Facebookを用いて積極的に、しかもユニークな情報発信を行っていたからである。「え~、こちら湯浅運輸」という、軽妙なトークから始まる同社のFacebookページは、湯浅運輸株式会社 代表取締役社長 湯浅昇氏自身が配信している。

採用に関しても、同社はユニークだ。 同社で働くトラックドライバーは、ほとんどが異業種からの転職者だという。やる気があって、運転が好きな方であれば未経験者でも迎え入れる。挑戦を評価する社風が湯浅運輸には根付いているのだろう。

だが、トラックドライバー経験者では起こさないようなハプニングに見舞われることもあったという。

「でもね、いい経験になりましたよ。チャレンジしてみないと分からないことって必ずありますから」──湯浅社長は語る。

転んでもただでは起きない、同社のチャレンジ精神が、SSCV-Smart導入にもつながったのだ。

導入しない理由を探すのではなく、前に進むことを選択すべき

SSCV-Smartを主として利用しているのは、物流事業部 物流部 部長 関川俊道氏である。実は関川部長、PCやシステムには、苦手意識をもっているという。例えば、エクセルでも関数は使えないそうだ。

だが、SSCV-Smart導入を湯浅社長に進言したのは、関川部長である。システムに苦手意識を持つ関川部長が、SSCV-Smart導入を進め、かつ自ら積極的に利用しようとするのはなぜなのだろうか。

「導入しない理由を探せば、いくらでも見つかります。でも『SSCV-Smartを導入すれば、前に進めるのかな』と感じたんです」──関川部長は、日立物流からSSCV-Smart導入を打診された時のことをこう振り返る。

「湯浅は、こういった進言をしても、駄目とは言いません。なぜ導入したいのか、その理由は問われますけど」と関川部長は語る。

では、なぜ湯浅社長は、SSCV-Smart導入を決めたのか。

「理由は二つあります。一つは、私自身が、もし関川のように配車業務を担当していたら、やはり省力化と効率化をしたいと思うはずです。だから、関川に限らず部下が望むことであれば、そのチャレンジは応援してあげたい。

もう一つは、何事にもつけ、仕組みは用意しておく必要があると考えています。今は関川や事務員たちの能力に頼り、配車や請求など、運送ビジネスの諸業務を処理していますが、仕組み化できるシステムであり、プラットフォームがあれば、積極的に導入すべきです」

真似られるものは真似て、時代に取り残されないように進みたい

湯浅運輸の事務所内には、配車表を表示するためのモニターが2台設置されている。モニターの前で談笑する関川氏(右)と日立物流 輸送事業強化PJ SSCV強化グループ主任 服部哲郎氏(左)
湯浅運輸の事務所内には、配車表を表示するためのモニターが2台設置されている。
モニターの前で談笑する関川氏(右)と日立物流 輸送事業強化PJ SSCV強化グループ主任 服部哲郎氏(左)

同社では、受発注業務から見積書発行、運行指示書の発行などにSSCV-Smartを活用している。特に同社の場合、運行指示書の発行が多いという。

運行指示書の発行機能は、SSCV-Smartが備える目玉の一つだ。運行計画作成においては休憩指示を必要とするが、経験を積んだ配車担当者でも、トラックが駐車できる休憩場所を運行ルート上で探しきれず難儀することもある。

SSCV-Smartでは、商用車ビッグデータをもとに、改善基準告示に準拠した上で、トラックが休憩可能な場所を考慮した運行ルートと運行計画の作成を支援することができる。

「SSCV-Smartの中で業務が完結するのは、とてもありがたいです。『運行指示書の発行を忘れていた!』といった、ケアレスミスも、SSCV-Smartを使えば防ぐことができますし、事務員たちの負担も減りました」と、関川部長はSSCV-Smartを評価する。

関川部長が配車担当になった頃、同社の傭車は、月に30台ほどだった。だが、現在は50台から、多いときには100台ほどになるという。

労務管理や安全管理に対する取り組みも、昔に比べてはるかにシビアになっている今だからこそ、アナログで管理することの限界を感じていたところだったという。

「時代に追いつけないのであれば、まだマシです。でももし、時代に取り残されてしまったら、そこから追いつくのは大変です」──関川部長は、業務の改善・変革の必要性に対し、強い危機感を抱いている。

SSCV-Smartは、関川部長の危機感解消に応える武器のひとつとして、うってつけだったのだ。

一方、湯浅社長は、別の観点からSSCV-Smartを評価している。

「SSCV-Smartのような仕組みを自社で創り上げようとしたら、5~10年は掛かるのではないでしょうか。だからこそ、日立物流がSSCV-Smartを創り、そして提供してくれることを、とてもありがたく感じています。

言うなれば、SSCV-Smartは、日立物流が考える運送業務を最適化する仕組みですから。私たちはそれを真似し、そしてうまく利用させてもらいたい。

安全対策や事務処理が、もし今の半分の時間と手間でできるようになれば、きっと会社も良くなるはずです。そうすれば、自ずと従業員たちのスキルや待遇も上がっていくでしょう」──仕組み化の推進・活用が、会社にもたらすメリットについて、湯浅社長はこのように考えている。

日立物流のノウハウを仕組み化したSSCV-Smart

SSCV-Smartは、自身もトラックを保有し、物流の実業を日々行っている日立物流が、現場から得た経験をフィードバックし、創り上げたソリューションである。SSCV-Smartを利用するということは、日立物流が培ってきた健全な安全管理、労務管理等の経営を支える仕組みを活用することにほかならない。

2020年3月現在、国内には約6万2,000社の運送会社が存在するが、その99%は中小企業である。そして、中小の運送会社経営者の多くは、運送のプロではあっても、経営を専門的に学んだ方は数少ない。さらに、関川部長が指摘するように、社会が運送会社に求める労務管理や安全管理は、年々厳しさを増している。

湯浅運輸は、長年培ってきた日立物流とのビジネスにより、日立物流を信頼している。だからこそ、日立物流の運送ビジネスにおけるノウハウが仕組み化されたSSCV-Smartも信頼し導入、活用しているのだ。

湯浅運輸を始めとする中小運送会社の経営を支援すべく、SSCV-Smartがさらに活躍の場を広げていくことを期待したい。

湯浅運輸株式会社について

会社名:湯浅運輸株式会社

所在地:〒316-0014 茨城県日立市東金沢町1-3-30

設立:1968年4月

従業員数:49名

保有車両台数:30台

執筆・インタビュー 坂田良平 プロフィール

Pavism代表。物流ジャーナリスト。

「主戦場は物流業界。生業はIT御用聞き」をキャッチコピーに、ライティングや、ITを活用した営業支援などを行っている。筋トレ、自転車、オリンピックから、人材活用、物流、DXまで、幅広いテーマで執筆活動を行っている。

連載『日本の物流現場から』(ビジネス+IT)他、Merkmal、LOGISTICS TODAYなど、物流メディアでの執筆多数。

※所属部署、役職等は取材時のものになります。